日曜日だというのに、午後も遅くなると
仏ヶ浦には私以外の人はいなくなってしまった。ときどき、上の駐車場から観光客がぽつりぽつりとおりて来ては去ってゆく。
私は、せっかくここまできたのだから、夕景も撮ろうと思い、
海に面した神社の階段に座っていた。
裏山の方で、がさがさとヤブを分ける物音がする。
管理人が裏山に入っていたのかと思っていたら、
降りてきたのは、、、、
毛むくじゃらの動物だった。
目があった瞬間、互いにびびった。
向こうもここで人に出くわすとは思っていなかったのだろう。
ビクっとして飛び退いたが、こちらも少なくとも同じくらいたまげた。
上の駐車場に「熊に注意」という看板が立ててあったが、
この動物は熊なのだろうか? 驚いた拍子に、襲いかかってこないだろうか?相手を極力刺激しないようこのままおとなしく座っているべきか?
立ち上がった方が何があってもすぐに対応できるし、こちらの体も大きく見えて威嚇にもなるだろうか? 写真を撮ったら怒るだろうか?熊でないなら、大型犬か? 驚いた拍子に襲いかかって、、、
(以下、上の繰り返し)、、、、
だが、相手に角が生えているのに気がついた。
角が生えているということは犬ではない、、、これは、、、、ニホンカモシカだ。
かつては絶滅寸前といわれ、特別天然記念物に指定された動物だが、
今ではずいぶんと数も増えていると聞くが、、、実物を見るのは
初めてだ。
ニホンカモシカはしばしこちらの様子をうかがっていたが、
やがて裏山に姿を消したのであった。
夜になって、仏ヶ浦から大間まで車で向かう途中には、
ほとんど黄金色といいたいほどに、派手な黄色の
小動物が車の前を横切っていった。写真は撮れなかったが、キテンといって
テン(貂)のうち黄色い冬毛をもつものであるらしかった。