天売島の周回道路を走るランナー。一周約10km。
島の北西部のあたりで。
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天売島には森が少ない。
北国の厳しい自然を感じさせる、荒涼とした笹の野原が
続いていて、私はそれを気に入っていた。
ところが、元々天売島は森に覆われていたらしい。
江戸時代から明治時代にかけてニシン漁が盛んだったとき、
ニシン加工用の燃料にするため木を乱伐したあげく、
明治19年の山火事の被害で、森が壊滅してしまったのだという。
ひとたび森が壊滅してしまうと、自然条件が厳しいために、
森が再生しなかったのである。
植林をしても、冬の冷たい季節風にやられて、苗木が育たないのだ。
森がなくなった天売島は水不足に悩まされるようになったが、
戦後、防風垣をつくるなどの様々な工夫をくわえて植林に
取り組んだ結果、ようやく一部に森が再生し、水不足も解消したという。
お隣の焼尻島でもニシン漁が盛んだったが、
そちらでは天売島に比べ森を守る意識が強かったようで、
天売島よりずっと森が残っていて、植生が豊かである。
撮影地 北海道 天売島
Teuri Island, Hokkaido, Japan
(2007年6月)