北海道・天売島写真館 木のない風景

 前へ一覧 次へ 



 

天売島の周回道路を走るランナー。一周約10km。

島の北西部のあたりで。
 

*************

天売島には森が少ない。

北国の厳しい自然を感じさせる、荒涼とした笹の野原が
続いていて、私はそれを気に入っていた。
 

ところが、元々天売島は森に覆われていたらしい。

江戸時代から明治時代にかけてニシン漁が盛んだったとき、
ニシン加工用の燃料にするため木を乱伐したあげく、
明治19年の山火事の被害で、森が壊滅してしまったのだという。
 

ひとたび森が壊滅してしまうと、自然条件が厳しいために、
森が再生しなかったのである。

植林をしても、冬の冷たい季節風にやられて、苗木が育たないのだ。
 

森がなくなった天売島は水不足に悩まされるようになったが、
戦後、防風垣をつくるなどの様々な工夫をくわえて植林に
取り組んだ結果、ようやく一部に森が再生し、水不足も解消したという。
 
 

お隣の焼尻島でもニシン漁が盛んだったが、
そちらでは天売島に比べ森を守る意識が強かったようで、
天売島よりずっと森が残っていて、植生が豊かである。
 
 
 
 

撮影地  北海道 天売島
Teuri Island, Hokkaido, Japan
(2007年6月)